国、地方公共団体などから公共事業を直接請負うためには、経営事項審査を受けなければなりません。
これは建設業許可を受けている建設業者が対象となります。

ここでは、経営事項審査の評価基準などについて、詳しく解説していきます。

経営事項審査とは

経営事項審査は略して、「経審(けいしん)」と呼ばれるのが一般的です。

経審は、国、地方公共団体などが公共事業を発注するに当たり、当該建設業者が建設工事の規模や技術的水準などに適した能力があるかの判断をするため、経営に関する客観的事項を審査するものです。
建設業許可を担当する許可行政庁が審査を実施します。

公共事業を発注する機関は、必ず競争入札に参加する建設業者の資格審査を行わなければなりません。
資格審査は、①欠格要件の確認、②客観的事項、③発注者別評価が行われ、②と③を点数化することで、各建設業者を格付していきます。
このうち、前述の②に該当するのが経審です。

審査の結果を数値化

さらに経審は、「経営状況分析」と「経営規模等評価」の2つの項目から構成されており、これらの点数を合算したものが経審の評価となります。

経審の結果の点数は以下の算出方法により、総合評価値(P)として表されます。

総合評価値(P)

総合評価値(P)=0.25完成工事高(X1)+0.15経営規模(X2)+0.20経営状況(Y)+0.25技術力(Z)+0.15社会性等(W)
(小数点第1位四捨五入で計算)

経営状況分析

経営状況分析は、経審のうちの一つで、会計的視点により建設業者の経営状況を数値化する審査です。
経営状況分析は以下の8つの指標があり、これらの指標に基づき、経営状況評点(Y)が算出されます。

負債抵抗力
  • 純支払利息比率
  • 負債回転期間
収益性・効率性
  • 総資本売上総利益率
  • 売上高経常利益率
財務健全性
  • 自己資本対固定資産比率
  • 自己資本比率
絶対的力量
  • 営業キャッシュフロー
  • 利益剰余金

経審の審査は、建設業許可の担当行政庁により実施されますが、経営状況分析は、国土交通省の登録を受けた専門機関により実施されます。
従って、経営状況評点(Y)を得るためには、専門機関への申請が必要となります。

専門機関は複数(令和7年2月1日現在:10社)登録されており、分析手数料や分析結果が出るまでの期間などが異なるため、事前に調査しておくが望ましいでしょう。

登録経営状況分析機関の一覧は以下のリンクをご参照ください。

建設産業・不動産業:登録経営状況分析機関一覧 - 国土交通省

経営規模等評価

経営規模等評価申請は、経審のうちの一つで、建設業者の経営規模(X)、技術的能力(Z)、その他の客観的事項(W)を数値化するための審査です。
経営規模等は、それぞれの審査項目が設定されており、それぞれを数値化して点数が算出されます。

利益剰余金
  • 完成工事高
経営規模(X2)
  • 自己資本額
  • 利払前税引前償却前利益の額
技術力(Z)
  • 技術職員数
  • 元請完成工事高
社会性等(W)
  • 建設業の担い手の育成および確保に関する取組みの状況
  • 建設業の経営継続の状況
  • 防災活動への貢献の状況
  • 法令遵守の状況
  • 建設業の経理の状況
  • 研究開発の状況
  • 建設機械の保有状況
  • 国際標準化機構または国が定めた規格による登録または認証の状況

なお、経営規模等評価の審査は、建設業許可の許可行政庁により実施されます。

審査手数料

国土交通大臣の場合は、審査手数料貼付書の用紙に収入印紙を貼付することで納付し、都道府県の場合は、現金または証紙で納付します。
愛媛県の場合は、愛媛県収入証紙により納付します。

経営規模等評価

審査対象建設業が1業種の場合は10,400円で、以後1業種増すごとに2,300円が加算されます。

総合評定値通知

審査対象建設業が1業種の場合は600円で、以後1業種増すごとに200円が加算されます。

なお、手数料は許可を受けている業種の数ではなく、審査の対象となる業種の数で算出されます。

経営事項審査の有効期間

公共事業を元請として請負う資格を毎年継続するためには、常に入札に参加できる状況を維持しておかなければなりません。

経営事項審査は、申請者の事業年度の決算期を基準に審査が行われ、経営事項審査の結果通知書の有効期限は基準となる決算期から1年7カ月となっています。

例えば、事業年度が1月1日~12月31日までの事業者が、令和6年12月期の決算に基づき経審を受ける場合は、令和8年7月31日が有効期限となります。
令和8年8月以降も維持する場合は、令和7年12月期の決算に基づいた経審を受ける必要があります。

つまり、毎年の審査結果が有効なうちに、次の決算期の経審の審査結果を取得し、資格が失効することの無いよう計画的に申請をしなくてはなりません。

経審は行政書士くにもと事務所へ

経営事項審査で高評価を得るためには、日頃からの継続した準備が不可欠です。
決算書や財務諸表を正確に作成するだけでなく、工事に関する書類の保管や記録を徹底することで、スムーズな申請手続きが可能になります。

また、申請には多岐にわたる資料が必要なため、日常的に必要書類の整備を進めておくことが重要です。

弊所は、建設業許可を専門に扱っている行政書士事務所です。
建設業許可の経営審査事項でのお悩みごとがあれば、何なりとお問い合わせください。

弊所への報酬
  • 経営状況分析申請:22,000円~
  • 経営規模等評価(総合評定)申請:55,000円~
お問合せ先

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
松山市南江戸3-10-15 池田ビル103号
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