株主総会決議に、手続きや内容上の瑕疵がある場合は、その決議は違法であり何かしらの対応が必要となります。
株主総会決議には、多くの関係者が関与するためむやみに取り消せたり、誰もが主張できるとすると法的安定性を欠くことになります。
適切な者のみに主張を認め、画一的に処理するために会社法では、決議取消しの訴え、決議不存在確認の訴え、決議無効確認の訴えを裁判により主張することができます。

決議取消しの訴え

取消理由

法律上の取消し原因としては、以下の3つが規程されています。
・株主総会等の召集の手続きまたは決議の方法が法令若しくは定款に違反、または著しく不公正なとき
・株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき
・株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことにより、著しく不当な決議がされたとき
ただし、裁判所は、違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないと認めるときは、この請求を棄却することができます。

出訴権者および出訴期間

決議取消しの訴えは、株主、取締役、執行役または監査役が出訴権者となり、会社が被告となります。
出訴期間は決議の日から3カ月以内となります。
なお、過去の判例によれば、3カ月以内に取消しの訴えを提起した上で、その3カ月経過後に新たな取消し事由を追加主張できるかについては、早期安定の観点から、これを否定しています。

決議の効力

取消しの判決が下るまでは、決議の効力は有効であり、3カ月以内に訴えがなされない場合には、瑕疵は治癒され決議は有効として確定されます。
決議を取り消す判決が下ると、その効力は遡及して決議時に遡り無効となります。
なお、この効力は会社と株主以外の第三者にも及ぶこととなります。

決議不存在確認の訴え

株主総会の決議について、決議の存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができます。
決議が行われた書類は存在するが、実際には決議が行われていない場合に用いられます。
その他にも、代表権のない取締役が、取締役会決議に基づかず株主総会を招集した場合なども該当します。

決議無効確認の訴え

株主総会等の決議について、決議の内容が法令に違反することを理由に、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができます。
決議無効の確定判決により、遡及効と対世効が生じ、決議取消しの判決と同様の効力が及びます。

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