株式とは、株式会社の出資者である社員の地位を細分化して割合的単位で表したものです。
この株式を保有する社員を株主といいます。

株主の権利

株主の基本的な権利は以下のとおりです。
・剰余金の配当を受ける権利
・残余財産の分配を受ける権利
・株主総会での議決権
株式会社が営利を目的とする団体であることが前提であるため、「剰余金の配当を受ける権利」と「残余財産の分配を受ける権利」の全部を与えない定款は認められませんが、どちらかを与えない定款を置くことは可能です。
また、一部の株式に限り、定款で株主総会での議決権を与えないという種類株式を発行することもできます。

株主の権利の分類

株主の権利の分類としては、自益権と共益権、単独株主権と少数株主権に大別されます。

自益権と共益権

自益権とは、株主が会社から直接経済的な利益を受けることが目的で、剰余金配当請求権などがあります。
共益権とは、会社の経営に参加することが目的で、株主総会での議決権や取締役等の行為に対する監督是正権などが該当します。

単独株主権と少数株主権

単独株主権とは、1株の株主であっても行使できる権利であり、自益権や共益権の一部がこれに該当します。
少数株主権とは、一定数以上の株式数が必要となり、これを満たさないと行使することができない権利です。
例えば、株主総会議題提案権や会社の解散請求権などが該当します。

株式と資本金

会社法では、株式の払込全額を資本金の額とすることを原則としています。
ただし、例外として、払込金額の1/2までの額を資本金とせず、資本準備金とすることができます。

株式の数と資本金には連動性はありません。
例えば、設立時は1株10万円で発行し、設立後の資金調達の新株発行においては、1株5万円で発行することも可能です。
また、株式分割や株式併合では、株式数は増減しますが、資本金は変更されないこともその要因といえます。
資本金は、会社の財産の配当規制の基準として機能することになります。

株主平等の原則

株主は、保有する株式の数に応じて平等の扱いを受けなければならず、これを株主平等の原則といいます。
株式の内容が同一であれば平等に扱われなければならず、異なる内容の株式では扱いが異なっても問題ありません。
なお、公開会社でない株式会社では、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会での議決権については、株主ごとに異なる扱いする旨を定款で定めることができ、この場合は種類株式として認識されます。

権利行使に関する利益の供与

株式会社は、株主の権利の行使に関して、財産上の利益を供与してはならない旨が規定されています。

返還義務

違法な利益を供与した者は、その利益を会社に返還しなければなりません。
利益供与を受けた者が利益と引き換えに給付したものがあれば、その返還を受けることになります。

取締役の無過失責任

違法な利益を供与した本人である取締役は無過失責任を負います。
また、違法な利益供与をすることに関与した取締役として法務省令で定める者は、無過失を立証しない限り、会社に対し連帯して供与した利益の価額に相当する額を支払わなければなりません。
なお、この賠償義務は、総株主の同意により免除することが可能です。

株主代表訴訟

株式会社が財産上の利益の供与を受けた者に対して返還請求をしない場合や、株式会社が取締役の支払い義務を追求しない場合には、株主は、株主代表訴訟により責任追及の訴えを提起することができます。
また、利益供与した取締役は、刑事罰も問われることになります。

補足情報(株式会社)

株式譲渡

株主総会決議の瑕疵

発起設立と募集設立