第1章 総則
商号
(商号)
第〇〇条 当会社は、株式会社○○○○と称する。
商号とは、会社の名称で、定款の絶対的記載事項です。
商号には、「株式会社」という文字を含むことが必要とされ、日本文字のほかに、ローマ字、アラビア数字、限られた符号(& ’ , - . ・)を使用することができます。
また、不正の目的をもって他の会社と誤認されるような商号を使用することの禁止など、一定の制限が設けられています。
目的
(目的)
第○○条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1 コンビニエンスストアの経営
2 酒類、たばこ、印紙及び切手の販売業
3 食料品等の販売業
4 料金収納代行サービス業
5 前各号に附帯又は関連する一切の事業
会社の目的とは、会社を営もうとする事業のことで、定款の絶対的記載事項です。
目的は複数あってもよく、また相互の目的に関連性も必要ありません。
ただし、会社の事業目的によっては、監督官庁の許認可や免許などを取得する必要があるため、事前に確認しておくことが大切です。
例えば、認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)を経営する場合は、「介護保険法に基づく地域密着型サービス事業」という記載が必要となります。
本店所在地
(本店所在地)
第〇〇条 当会社は、本店を愛媛県松山市に置く。
会社の本店とは、会社の主たる営業所のことで、登記の管轄を定める基準となり、定款の絶対的記載事項です。
本店所在地は、日本国内であれば自由に定めることができ、定款への記載は、独立の最小行政区画までの記載(愛媛県松山市)でも、住居表示上の番地までの記載(愛媛県松山市南江戸3丁目10-15)でも、どちらでも認められています。
番地まで特定して記載した場合は、設立登記申請時の添付書類の発起人による本店所在地決議書は不要となります。
公告の方法
(公告方法)
第〇〇条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
公告とは、法令上の義務により特定の事項を広く一般に知らせることです。
公告の方法は、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告のいずれかを定款で定めます。
定款への記載がない場合は、官報による公告とされます。
第2章 株式
発行可能株式総数
(発行可能株式総数)
第○○条 当会社の発行可能株式総数は、1,000株とする。
発行可能株式総数とは、株式会社が発行することができる株式の総数のことです。
発行可能株式総数は、会社法第37条により、定款でその総数の定めを設けなければならないと定められています。
会社の将来の発展性を見込み、「設立時発行株式数」よりも相当程度多い数を記載すると良いでしょう。
なお、原始定款で定めていないときは定款変更が必要となります。
また、公開会社の場合は、設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の1/4を下回ることができません。
株券の不発行
(株券の不発行)
第○○条 当会社は、その株式に係る株券を発行しない。
会社法では株券不発行が原則となっています。
上場会社の場合、株券の電子化により全ての会社が株券不発行会社である一方、非上場会社の場合は、定款で定めることにより株券を発行することが可能です。
公開会社では決算の迅速化、確実化が求められペーパーレス化を進めることが必要であり、非公開会社では株式の流通性が乏しく、株券発行の必要性が低いことが理由となっています。
株式の譲渡制限
(株式の譲渡制限)
第○○条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、取締役の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主に譲渡する場合には、承認をしたものとみなす。
すべての株式に譲渡制限を設けるのが株式譲渡制限会社(非公開会社)で、一部でも譲渡制限を設けないのが公開会社となります。
株式の譲渡制限とは、株主が誰かに株式を譲渡する場合には、取締役会、あるいは株主総会の許可を得なければ譲渡できないということです。
譲渡制限がある場合、会社が望まない人物に自社の株式を持たせないようにすることができます。
また、家族で経営している会社の場合、家族以外で経営に対して非協力的な人物に株が渡れば、経営に口出しするようになり、事業が円滑に進まなくなる可能性があります。
このような事態を避けるため、株式の売買、譲渡などに制限をかけることができます。
相続人等に対する売渡請求
(相続人等に対する売渡請求)
第○○条 当会社は、相続、合併その他の一般承継により当会社の譲渡制限の付された株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。
相続、合併、会社分割などの一般承継があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議を経て行わなければならない制度です。
例えば、相続より会社にとって好ましくない者が会社の株式を取得した場合に、会社は、あらかじめ定款に規定した上で、相続によって株式を取得した相続人に対し、当該株式を会社に売り渡すことを請求することができます。
株主名簿記載事項の記載の請求
(株主名簿記載事項の記載の請求)
第○○条 当会社の株式の取得者が株主の氏名等の株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求するには、当会社所定の書式による請求書にその取得した株式の株主として株主名簿に記載若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と株式の取得者が署名又は記名押印し、共同してしなければならない。ただし、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合には、株式取得者が単独で上記請求をすることができる。
株主が株式会社に対して、当該株主についての株主名簿に記載された株主名簿記載事項を記載した書面の交付を請求することができることです。
当該株式を発行した株式会社以外の者から株式を取得した者は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができます。
ただし、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならなりません。
質権の登録及び信託財産の表示の請求
(質権の登録及び信託財産の表示の請求)
第○○条 当会社の発行する株式につき質権の登録、変更若しくは抹消又は信託財産の表示若しくは抹消を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印してしなければならない。
株式の質入れは、質権者の氏名等を株主名簿に記載しなければ、会社その他第三者に対抗できず、株券発行会社においては、株券の戦友の継続までもが対抗要件とされています。
信託財産の表示の請求について、株券不発行会社では、信託財産に属する旨を株主名簿に記載しなければ、会社その他の第三者に対抗することができません。
一方で、株券発行会社では、第三者に対して信託財産であることを主張できるか否かは、実質的に信託財産であることが証明できるかにより判断されます。
手数料
(手数料)
第○○条 前2条の請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。
手数料の徴収規程を設ける理由としては、主に濫用的請求を防ぐものであるが、近年では濫用的請求が減少したこともあり、この記載を省く会社も増えているようです。
株主の住所等の届出
(株主の氏名等の届出)
第○○条 当会社の株主及び登録株式質権者又はそれらの法定代理人若しくは代表者は、当会社所定の書式により、氏名又は名称、住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。
2 前項の届出事項を変更したときも、同様とする。
多くの会社は、株主及び登録質権者又はその法定代理人若しくは代表者が、当会社所定の書式により、その氏名、住所及び印鑑を当会社に届け出なければならないことを義務付けています。
基準日
(基準日)
第○○条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
2 前項のほか、必要があるときは、あらかじめ公告して、一定の日の最終の株主名簿に記載又は記録されている株主又は登録株式質権者をもって、その権利を行使することができる株主又は登録株式質権者とする。
株主総会で議決権を行使したり、利益配当を受ける権利を行使する株主を定める日のことです。
基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前までに当該基準日と基準日株主が行使できる権利内容を公告しなければなりませんが、定款に基準日等の定めがあるときに限り公告は不要となります。
第3章 株主総会
株主総会とは
株主総会とは、株主により構成され、株主の総意により会社の意思を決定する機関です。株主総会は、会社がいかなる機関を設ける場合でも、必ず設置する必要があります。定時株主総会は毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければなりませんが、臨時株主総会は必要があれば、いつでも招集することが可能です。
招集時期
(招集時期)
第○○条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要がある場合に招集する。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集することとされており、一般的に、「毎年〇月に招集する」と記載する方法と、「毎事業年度終了後から3カ月以内に招集する」と記載する方法に大別されます。
招集時期は、基準日の有効期限が3カ月以内であることから、最長でも事業年度末日の翌日から3カ月以内となります。
なお、法人税の確定申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内となっているため、場合によっては、申告期限の延長申請を検討する必要があります。
招集権者
(招集権者)
第○○条 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役社長が招集する。ただし、取締役社長に事故があるときは、あらかじめ取締役の過半数をもって定めた順序により、他の取締役が招集する。
株主総会の招集権者は、原則として、取締役設置会社場合は、取締役会で招集を決定し、代表取締役が招集します。
また、非取締役設置会社の場合においては、取締役(取締役が2人以上の場合、過半数で決定)が決定し、代表権を有する取締が招集します。
例外として、公開会社の場合は、株主総会の議決権の3/100以上の議決権を6ヵ月前から引き続き保有する株主は、取締役に対して、株主総会の目的である事項および召集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができます。
なお、非公開会社の場合は、保有期間の制約はなく、株主総会の招集を請求することができます。
招集通知
(招集通知)
第○○条 株主総会の招集通知は、当該株主総会で議決権を行使することができる株主に対し、会日の5日前までに発する。ただし、書面投票又は電子投票を認める場合には、会日の2週間前までに発するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、株主総会は、その総会において議決権を行使することができる株主の全員の同意があるときは、書面投票又は電子投票を認める場合を除き、招集の手続を経ることなく開催することができる。
取締役設置会社の場合には総会の2週間前までに、非取締役設置会社の場合は原則1週間前までに招集通知を株主に対して発送しなければなりません。
この通知には以下の事項を記載しますが、非取締役設置会社の場合は、口頭でも可能とされています。
・株主総会の日時および場所
・株主総会の目的である事項がある場合は、当該事項
・株主総会に出席しない株主が書面で議決権を行使できる場合はその旨
・株主総会に出席しない株主が電磁的方法により議決権を行使できる場合はその旨
・その他、法務省令で定める事項
なお、株主総会の招集手続きを欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席し決議したときは、その決議は有効に成立すると解釈されています。
株主総会の議長
(株主総会の議長)
第〇〇条 株主総会の議長は、取締役社長がこれに当たる。
2 取締役社長に事故があるときは、当該株主総会で議長を選出する。
株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理します。
また、命令に従わない者、その他当該株式総会の秩序を乱す者を退場させることができるとされています。
株主総会の決議
(株主総会の決議)
第○○条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。
普通決議とは、その会社の議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行われる決議です。
会社法または定款で特別の要件が定められていない場合は、この普通決議によりますが、定足数については、定款により引下げまたは排除することも可能です。
特別決議とは、その会社の議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の2/3以上の多数をもって行われる決議です。
決議及び報告の省略
(決議及び報告の省略)
第○○条 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該事項について議決権を行使することができる株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
株主総会の提案事項について議決権を行使することができる株主全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、株主総会を省略し、総会決議があったとみなす書面決議の制度です。
なお、株主が多数いる会社では、この制度の利用は難しいと考えられます。
議事録
(議事録)
第○○条 株主総会の議事については、開催の日時及び場所、出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く。
株主総会の議事について、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、本店に10年、支店に写しを5年保存しなければなりません。
株主および債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも議事録または議事録の写しの閲覧、謄写の請求ができます。
第4章 取締役及び代表取締役
取締役の員数
(取締役の員数)
第○○条 当会社の取締役は、1名以上とする。
取締役の員数は、取締役非接地会社の場合は1人でも良いですが、取締役設置会社の場合は3人以上が必要となります。
取締役の資格
(取締役の資格)
第○○条 取締役は、当会社の株主の中から選任する。ただし、必要があるときは、株主以外の者から選任することを妨げない。
取締役には特別な資格は必要ありませんが、法人、倒産法等で処罰された者は取締役になることはできません。
定款で取締役の資格を株主に制限することができるのは、非公開会社のみであり、公開会社は取締役の資格を株主に制限することはできません。
取締役の義務
取締役は会社法上、以下のような義務が課せられています。
【善管注意義務】
会社と取締役の関係は、民法の委任契約となるため、受任者となる取締役には善良な管理者の注意義務が課せられます。
【忠実義務】
取締役は、法定、定款、株主総会の決議を遵守し、株式会社のために忠実にその職務を行わなければなりません。
【競業・利益相反取引の制限】
取締役は、以下の場合は、株主総会において、当該取引の重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません。
・当該株式会社の事業部類に属する取引をする
・当該株式会社と取引をする
・当該株式会社が取締役の債務を保証する
・当該株式会社と利益が相反する取引をする
【報告義務】
取締役は、株式会社に著しい損害をおよぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに、当該事実を株主に報告しなければなりません。
取締役の選任
(取締役の選任)
第○○条 取締役は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については、累積投票によらない。
取締役の選任は、株主総会の普通決議の特則により選任された後、会社と取締役が委任契約を締結することで、初めて選任の効力が生じることになります。
取締役の任期
(取締役の任期)
第○○条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。
取締役の任期は、原則2年となりますが、例外として、公開会社以外の会社で、定款により任期を選任後10年以内に終了する事業年度の内最終のものに関する定時株主総会終結時までに伸長可能としています。
また、監査等委員会設置会社の取締役、指名委員会等設置会社の取締役の任期は1年となります。
補欠取締役
(補欠取締役)
第○○条 会社法第329条第3項の規定による補欠の取締役の選任に係る決議の効力が有する期間は、当該決議後5回目に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会の決議によりその期間を短縮することを妨げない。
補欠の取締役の選任に係る決議の効力が有する期間は、定款で定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとあるため、定款により当該期間を伸長するこが可能です。
代表取締役及び社長
(代表取締役及び社長)
第○○条 当会社に取締役を複数置く場合には、代表取締役1名を置き、取締役の互選により定める。当会社に置く取締役が1名の場合には、当該取締役を代表取締役とする。
2 代表取締役は、社長とし、当会社を代表する。
3 当会社の業務は、専ら取締役社長が執行する。
取締役が複数いる場合は、代表取締役を定めない限り、取締役が会社の代表権を有することとなりますが、実務上、代表取締役を定めている場合が多いです。
なお、株式会社は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選、株主総会の決議の何れかにより、取締役の中から代表取締役を定めることができます。
また、非取締役設置会社では、取締役が2人以上の場合は、会社の業務の決定は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数により決定されます。
代表取締役の報酬及び退職慰労金
(取締役の報酬及び退職慰労金)
第○○条 取締役の報酬及び退職慰労金は、株主総会の決議によって定める。
代表取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益については、お手盛り防止の観点から、定款または株主総会の普通決議により定めるものとされています。
第5章 監査役
監査役の設置、員数、選任
(監査役の設置、員数、選任)
第○○条 当会社に監査役1名を置く。
2 監査役は、株主総会の決議によって選任する。
3 監査役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う。
株式会社は定款の定めにより取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会、指名委員会等を置くことができます。監査役は、取締役の業務執行を監査する機関であり、監査役の設置は任意ですが、以下のような定めがあります。
・取締役会設置会社は必置
・会計監査人設置会社は必置
・監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は監査役を置くことができない
監査役の選任方法は取締役と同じですが、監査役は、当該会社の取締役、子会社の取締役、子会社の会計参与、子会社の執行役などを兼務することはできません。
監査役の員数は、1名でも問題ありませんが、監査役会設置会社の場合は3名上が必要となり、そのうちの半数以上は社外監査役でなければなりません。
監査役の権限
(監査役の権限)
第○○条 監査役の監査の範囲は、会計に関するものに限定する。
監査役は、取締役会の業務監査と会計監査を行います。
非公開会社においては、定款の定めにより、監査役の権限を会計監査に限定することができます。
また、監査役には以下のような権限と義務があります。
【監査役権限】
・事業報告および調査の請求権
・子会社への事務報告及び調査の請求権
・監査役による取締役の行為の差止め
【監査役の義務】
・取締役への報告義務
・取締役会への出席義務
・株主総会に対する報告義務
監査役の任期
(監査役の任期)
第○○条 監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 補欠により選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了する時までとする。
任期は原則として4年となりますが、例外として、公開会社以外の会社は、定款により任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで伸長することができます。
監査役の報酬及び退職慰労金
(監査役の報酬及び退職慰労金)
第○○条 監査役の報酬及び退職慰労金は、株主総会の決議によって定める。
監査役の報酬等は、定款にその額の定めが無いときは、株主総会の決議によって定めるとされています。
第6章 計算
事業年度
(事業年度)
第○○条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。
事業年度は、1年を超えることはできませんが、1年を2事業年度以上に分けることは可能です。
しかし、多くの会社が1年を事業年度としています。
剰余金の配当
(剰余金の配当)
第○○条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して行う。
株式会社は、株主に対して、剰余金の配当をすることができます。
ただし、純資産額が300万円未満の場合には、剰余金の配当はできません。
また、剰余金の配当を行うには、原則として株主総会の決議が必要となります。
なお、違法配当により金銭等の交付を受けた株主および違法配当を行った業務執行者は、会社に対して連帯し、配当された金銭等を支払う義務を課せられます。
配当の除斥期間
(配当の除斥期間)
第○○条 剰余金の配当がその支払の提供の日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払義務を免れるものとする。
株主の利益配当請求権の除斥期間を定めたものであり、一般的には3年と定めている会社が多いようです。
第7章 附則
設立に際して発行する株式
(設立に際して発行する株式)
第○○条 当会社の設立に際して発行する株式の数は300株とし、その発行価額は1株につき1万円とする。
発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数は株式会社の設立登記事項であるため、定款作成時に設立時発行株式数が確定していれば、定款に記載します。
ただし、設立時発行株式数が変更する可能性がある場合は、設立登記申請までに発起人全員の同意により定めることができます。
設立に際して出資される財産の価額
(設立に際して出資される財産の価額)
第○○条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金300万円とする。
「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」は、定款の絶対的記載事項です。
出資される財産の価額と最低額は何れかを記載すれば良く、定款の作成段階で出資される財産の価額が確定しているケースが多いことから、大半の会社では財産の価額(確定額)を記載します。
成立後の資本金の額
(成立後の資本金の額)
第○○条 当会社の設立に際して出資される財産の全額を成立後の資本金の額とする。
成立後の会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項は、定款に定めがある場合を除き、発起人全員の同意を得て定めることが必要です。
定款作成時に資本金の額が確定しているのであれば、事前に定款で定めておくことで、後の手続きを省くことにつながります。
最初の事業年度
(最初の事業年度)
第○○条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和○年3月末日までとする。
事業年度は1年を超えることができず、最初の事業年度は、特に注意が必要です。
例えば、「令和6年3月31日までとする」と記載する場合は、設立登記申請手続きは、令和5年4月1日以降にする必要がりあります。
なお、定款の認証は令和5年3月31日以前であっても問題はありません。
設立時役員
(設立時取締役等)
第○○条 当会社の設立時取締役及び設立時代表取締役は、次のとおりである。
設立時取締役 ××××
設立時取締役 △△△△
設立時代表取締役 ××××
発起設立および募集設立の何れにおいても、設立時取締役、設立時監査役、設立時代表取締役を定款で定めることができます。
発起人の氏名ほか
(発起人の氏名ほか)
第○○条 発起人の氏名、住所、設立に際して割当てを受ける株式数及び株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
愛媛県松山市○○町○○番地○号
発起人 ×××× 150株、金150万円
愛媛県松山市○○町○○番地○号
発起人 △△△△ 150株、金150万円
発起人の氏および住所は定款の絶対的記載事項です。
定款の各発起人の住所と氏名は、印鑑証明書のとおり記載する必要があります。
なお、引受株式数と払込金額について、定款にその定めがないときは、設立登記申請時までに発起人全員の同意を得て定めることが必要となります。
現物出資をする場合の記載例
発起人の氏名ほか
(発起人の氏名ほか)
第○○条 発起人の氏名、住所、設立に際して割当てを受ける株式数及び株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
愛媛県松山市○○町○○番地○号
発起人 ×××× 150株、金100万円
愛媛県松山市○○町○○番地○号
発起人 △△△△ 150株、金150万円
なお、発起人○○○○は、金銭出資とともに、次条の現物出資を行う。
現物出資
(現物出資)
第35条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこれに対して割り当てる株式の数は、次のとおりである。
(1)出資者
発起人 ××××
(2)出資財産及びその価額
車両(車種○○ 型式番号○○ 形式番号○○)1台
金50万円
(3)割り当てる株式の数
50株
現物出資は、その価額が500万円以下の場合、市場価格のある有価証券の場合、弁護士等の証明を受けた場合には、何れも検査役の調査は不要となります。
法令の準拠
(法令の準拠)
第○○条 この定款に規定のない事項は、全て会社法その他の法令に従う。
末尾
以上、株式会社○○○○設立のため、発起人××××ほか1名の定款作成代理人□□□□は、電磁的記録であるこの定款を作成し、これに電子署名をする。
令和○年○○月○○日
発起人 ○○○○
発起人 △△△△
上記発起人2名の定款作成代理人
住 所
□□□□