会社法では、授権資本制度により、会社は、いつでも新株を発行することが可能であり、新株が発行されれば、発行済み株式数は増加することになります。
また、既存の株式を分割したり、既存株主に無償で新株を発行することでも、発行済株式数は増加することになります。
一方で、株式会社は、発行した株式を消却や併合することで、発行済株式数を減少させることも可能です。

株式の併合

株式の併合は、複数の株を1株に統一することで、資本金の額に影響を与えることなく、発行済株式数を減少させる方式です。
例えば、500株が100株になることで、株主管理コストを抑えることなどのメリットが見込めます。

株主総会の特別決議

株式を併合するためには、その都度、「併合の割合」、「株式の併合がその効力を生ずる日」、「株式会社が種類株式発行会社である場合は併合する株式の種類」、「効力発生日における発行可能株式総数」を株主総会の特別決議により定めなければなりません。
なお、公開会社の場合は、効力発生日における発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式総数の4倍を超えることはできません。

株主総会の諸手続き

効力発生日の2週間前までに株主に通知しなければならず、会社には情報公開義務もあります。
また、取締役は、株主総会において、株式の併合をする理由を説明しなければなりません。
なお、株券発行会社の場合は、株式併合の効力発生日までに会社へ株券を提出する旨を当該日の1か月までに公告し、株主への通知が必要となります。

株主の権利

少数株主保護のため、株式併合の差止請求権があります。
これは、株式の併合が法令または定款に違反し、株主が不利益を被るおそれがあるときは、会社に対しその株式の併合を止める旨を請求することができる権利です。
また、株式併合により生み出された反対株主には、端数株式買取請求権が認められています。

株式の分割

株式の分割とは、既存の株式を細分化することで従来よりも株式を増加させる方法です。

株式分割の効果

会社の純資産および資本金の額を変動させることなく株式数を増加させることから、株式の市場価格を下げ、取引をしやすくして流通性を高める効果が見込めます。
例えば、100株を500株に分割した場合、100株で100万円の価格の株は、同じ価値で株数が5倍、つまり500株で100万円となるため、500株を20万円で購入することができます。

株主総会の決議

株式の分割をするときは、その都度、株主総会の決議により、「株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日」、「株式の分割がその効力を生ずる日」、「株式会社が種類株式発行会社である場合には分割する株式の種類」を定めなければなりません。

発行可能株式総数の変更

株式分割により発行済株式総数は増加しますが、発行可能株式総数の変更はないことから、その後発行することのできる株式数は減少することになります。
この場合は例外的に、株主総会による定款の変更を経ることなく、株式分割の効力発生日における発行可能株式総数に、分割割合を乗じて得た数の範囲内で発行可能株式総数を増加する定款変更が可能です。
前述の例によれば、株式が5倍となっているため、発行可能株式総数も5倍にすることができます。

株式の無償割当て

株式の無償割当てとは、株主に対して無償で新株の割当てをすることで、その都度、株主総会の普通決議により、「株主に割当てる株式の数またはその数の算定方法」、「当該株式無償割当てがその効力を生ずる日」、「株式会社が種類株式発行会社である場合は当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類」について定めなければなりません。
株式無償割当ては、株式分割と同様、会社の純資産および資本金の額を変動することなく株式数を増加させますが、株式分割と異なり自己株式には割当てがありません。

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