マイナンバーカードと国民健康保険証の連携とは
国民健康保険制度は、誰でも、いつでも医療保険の適用が受けられる、社会を維持していくための大切な仕組みです。
健やか生活を継続するためには、1人1人が助け合うことが重要です。
誰もが安心して生活でき、公平に支え合える国民健康保険制度を解説していきます。
国民健康保険の仕組み
国民健康保険料は毎年6月に決定
毎年度の国民健康保険料は住民税が確定する6月に決定し、6月中旬頃に世帯主あてに、納入通知書および納付書が送付されます。
納付義務者は国民健康保険加入者が属する世帯主となり、6月~3月の10カ月間で1年分を納付することになります。
国民健康保険料の計算
令和5年度の国民健康保険料は、加入者の人数と令和4年中の総所得金額で計算します。
所得税、住民税と国民健康保険料では控除する項目が異なることには注意が必要です。
例えば、税法上の扶養控除や社会保険料控除、医療費控除などの所得控除は、国民健康保険料の計算では適用されず、基礎控除の43万円のみ適用されます。
なお、青色申告による申告控除はその控除後の所得で所得割額を計算します。
国民健康保険料の軽減措置
所得が低い世帯には国民健康保険料を軽減措置が設けられ、国の基準で世帯の所得に応じて均等割、平均割の額を7割、5割、2割減額する軽減制度があります。
この軽減の適用に特段の申請は必要ありません。
対象となる所得
給与による所得、事業による所得、年金による所得など、一般的な所得は計算の対象となりますが、遺族年金、障害年金、雇用保険の失業給付などの非課税所得は計算に含まれません。
なお、退職所得は一時金で受け取る場合には計算の対象に含まれませんが、年金で受け取る場合には雑所得として計算に含まれます。
あらかじめマイナンバーカードの健康保険証利用の登録をすることで、専用のカードリーダーがある医療機関や薬局では、マイナンバーカードを健康保険証として利用することができます。
また、2024年秋には従来の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードに一本化される予定もあります。
マイナンバーカードが健康保険証に
マイナンバーカード健康保険証の運用は2021年10月より開始されており、マイナンバーカード健康保険証には以下のようなメリットがあります。
健康保険証として継続して使用できる
マイナンバーカードを健康保険証として使うと、就職や転職、引っ越しをしてもそのまま使用することができます。
ただし、医療保険者が変更する場合は、加入の届け出が必要となります。
資格確認がスムーズになる
医療機関や薬局に設置されている専用のカードリーダーでスムーズに医療保険の資格が確認でき、受付がスムーズになります。
限度額適用認証の提示が原則不要
これまで医療機関での支払いで限度額を確認するには、事前に申請をして交付を受けた限度額適用認定証が必要でしたが、オンライン資格確認ができる医療機関などでは、本人が同意し、システムで確認ができる場合は、原則提示が不要となりました。
提示が不要となる書類は限度額適用認定書、限度額適用・標準負担額減額認定書などです。
ただし、システムを導入していない医療機関の受診や非課税世帯の長期入院、国民健康保険料に未納がある場合などは申請が必要です。
医療費の確認・医療費控除の申請に使用できる
これまで紙で届いていた医療費通知とは別に、マイナポータルで自分の医療費通知情報を確認できます。
また、所得税などの医療費控除の申告でもマイナポータルを通して医療費情報を取得できるため、医療機関による領収書が無くても手続きが可能です。
薬や特定診断の情報を共有できる
オンライン資格確認ができる医療機関や薬局では、本人の同意があれば、処方されている薬剤や特定健康診査の結果を医師や薬剤師などと共有することができ、より適切な医療をうけることができます。
ただし、全ての医療機関や薬局が対応しているわけではないので、事前に確認することが必要です。
自分の健康管理に役立つ
マイナポータルで自分の特定検診情報や薬剤情報が閲覧できます。
特定検診情報は、2020年度以降に実施したものから5年分の情報が閲覧できます。
終わりに
マイナンバーカード健康保険証は、紛失した場合など個人情報が漏洩するリスクがあります。
新しい制度や法律は利便性の向上や一定の恩恵を受けることができますが、整備が不完全なことも多く、危険が伴うこともまた事実です。
制度をよく理解したうえで、しっかりと暮らしに役立てましょう。
行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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