愛媛県松山市でもファミリーシップ制度が導入
愛媛県松山市では2025年2月3日より、法律婚の関係のない2人に「ファミリーシップ届出受理カード」を交付する、ファミリーシップ制度が開始することとなりました。
今回はファミリーシップ制度導入の背景や松山市における具体的な手続きについてご紹介します。
日本でパートナーシップ制度が導入され始めた背景には、LGBTQなどの性的マイノリティへの理解と支援を求める声の高まりがあります。
また社会全体として多様性を受け入れる意識が進み、各自治体が独自にこの制度を設ける動きが活発化しました。
各自治体において、よりインクルーシブな社会を目指し、パートナーシップ・ファミリーシップ制度が導入されています。
ファミリーシップとパートナーシップ制度
ファミリーシップ制度を解説する上では、パートナーシップ制度の説明は欠かせません。
パートナーシップ制度とは
パートナーシップ制度とは、同性カップルを含むすべてのパートナー関係を公的に認め、宣誓書や証明書を通じてその関係を証明する制度です。
この制度は、性的指向や性自認に関係なく、個々の多様な生き方を尊重する目的で導入されています。
日本では自治体単位で普及が進んでおり、各地で独自の特色を持った仕組みが見られます。
ファミリーシップ制度とは
ファミリーシップ制度は、パートナーシップ制度を発展させた取り組みで、同性カップルだけでなく、その子どもや他の家族関係も公的に認めようという制度です。
2者間だけでなく、家族としての関係性を証明することが可能です。
パートナーシップ制度と同様に法的な効力は持ちませんが、多様な家族の形を受け入れる流れを広げる重要な一歩となっています。
法的効力と婚姻制度との違い
ファミリーシップ(パートナーシップ)制度は、法的な婚姻制度とは異なり、法律上の効力は持ちません。
そのため、婚姻によって可能となる相続権や税制優遇といった法的権利の付与はありません。
一方で、自治体が発行する受領証や証明書を通じて、行政サービスや医療機関での対応が改善されるケースがあります。
この制度の特徴は、当事者間の関係性を認め、社会的な理解を深める役割を担っている点です。
ファミリーシップ制度の課題
ファミリーシップ(パートナーシップ)制度は、性的マイノリティの方々が互いの関係を自治体に公的に認めてもらうことで、権利向上につながるとともに、社会全体の多様性を促進するきっかけが期待されていますが、課題も多く抱えています。
法的効力がないことによる壁
ファミリーシップ制度には法的効力がないことが課題として指摘されています。
例えば、この制度では相続や税制の優遇措置、婚姻関係に基づく法的権利の行使が認められないため、多くのケースで法的保護が不十分です。
各自治体の事例においても、制度の特徴として法的拘束力がない点が明確に示されています。
この状況は、パートナーシップ制度を利用するカップルが現状の法制度において直面する大きな壁となっています。
認知度向上の必要性
ファミリーシップ制度の認知度の低さも課題の一つです。
地方自治体が独自に導入しているため、地域間での情報格差が生じており、利用可能な制度が知られていないケースもあります。
このため、普及活動や周知の取り組みが不可欠です。
制度の利用流れや条件をわかりやすく提示し、市民への情報提供を進めている自治体もありますが、全国的な認知度向上にはさらなる努力が求められます。
制度を必要とする人々にその存在が届くことはもちろん、広く一般社会へ多様性の重要性を広げることも重要です。
松山市のファミリーシップ制度
同性間、異性間を問わず、法律婚の関係にない二人が、相互に協力して家族として対等な立場で継続的に生活する関係であることを松山市に届出をすれば、「松山市ファミリーシップ届出受理証明書」と「松山市ファミリーシップ届出受理カード」が交付されます。
証明書には、子どもや親等の近親者の氏名も記載することができます。
届出の対象者
- 成年(18歳)に達している
- いずれか一方が松山市内に住所を有している
- 婚姻をしていない
- 他にパートナーシップ等を形成していない
- 双方が近親者でない
届出の方法
以下の書類を準備し、窓口、郵送、電子申請のいずれかの方法により届出をします。
- 住所が確認できる書類
(住民票等) - 婚姻していないことが確認できる書類
(戸籍全部事項証明書等) - 本人確認書類の写し
(運転免許証、マイナンバーカード等)
利用できる主な行政サービス
- 市営住宅の入居申し込み
- 住民票の続柄を変更
- 納税証明書の交付
- 完納証明書の交付 等
お問合せ先
〒790-8571
松山市二番町四丁目7番地2
松山市役所本館7階
松山市 市民部 人権・共生社会推進課
ファミリーシップ制度担当
TEL:089-948-6604
松山市ファミリーシップ制度を公示し、運用を開始します 松山市公式ホームページ PCサイト
終わりに
パートナーシップ制度やファミリーシップ制度が広がりを見せる中、一人ひとりが制度の背景やその意義について理解を深めることが重要です。
これらの制度は、性的マイノリティを含むすべての人が生きやすい社会を目指した取り組みであり、多様性を尊重する観点から私たちの身近な生活とも密接に関係しています。
私たちには、他者の生き方に対する偏見や無知を減らすため、正しい情報を得る努力をし、理解を示す行動を取ることが求められているといえるでしょう。
行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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