決算書は黒字でも資金が不足している要因は!?黒字倒産とは!?

決算書を用いて会社の状態を把握することは、もちろん大切なことですが、会社の経営は、通常現金をベースにとして行われます。
そのため、いくら決算書上は黒字でも、現金がなければ会社は破綻してしまい、世間一般的には黒字倒産といわれています。

今回は、決算書は黒字でも資金が不足している主な原因、さらにはその延長線上に待ち受ける黒字倒産について解説していきます。

黒字でも資金が不足している理由は?

決算書は黒字で資金が不足している主な原因については、貸借対照表の資産の部を検証する必要があります。
現金がどのように変化したかを見極めることがポイントとなり、一般的によく見受けられる、売掛金、棚卸資産、前払金、固定資産に着目していきます。

売掛金の増加

売掛金の増加理由には、回収期間が長期にわたる場合と、回収不能な売掛金がある場合が考えられます。

回収期間が長期にわたる場合は、回収期間の短縮の交渉から取り組みますが、交渉での解決は現実的には困難といえるでしょう。
売上に対する仕入れの支払期間を延長する交渉を並行して行うことがリカバリーに繋がります。

また、回収不能な売掛金がある場合は、回収可能性を検討し、回収できないと判断に至った場合は、即座に帳簿から落としましょう。
不良債権の売掛金が残っていると、決算書による経営判断を誤る原因にもなりかねません。

棚卸資産の増加

棚卸資産は、売れたときにはじめて費用化されるため、売れずに滞留している間は、資産として計上され費用としては扱われません。
棚卸資産の増加は、最終的に不良在庫になる可能性を秘めており、不良在庫は早急に処分することが求められます。

もちろん、売り切ることができれば、それに越したことはありませんが、いつもまで売れないものを抱えていても会計上は資産として扱われ、結果的に経営判断に支障をきたす恐れがあります。

前払金の発生

仕入や経費などのサービスの提供を受ける前に代金を支払うことで前払金は計上されます。

これを解消するためには、単純にサービスの提供後に支払いをすることに尽きます。
最適な資金繰りを実現するためには、回収は早め、支払いは遅めを守ることが鉄則とされています。

固定資産が過大

過大な設備投資が原因となり、資金が不足することも十分に考えられます。

過剰な設備投資をしないことはもちろんですが、後になり気づいた場合は、売却の検討や融資先に対して返済計画の見直しを交渉するなど、何らかの対策が必要となります。
設備投資をする際は、事前に慎重すぎるくらいの計画を立てることが大切です。

黒字倒産とは何か?

黒字倒産とは、企業が黒字経営で利益を上げている状態にもかかわらず、その資金不足により経営が行き詰まる現象を指します。
収支のバランスが取れているように見えるにもかかわらず、現金不足で支払いができなくなる状態です。
これは一般的な「赤字倒産」とは異なり、特にキャッシュフローの管理が不十分な場合に発生することが多い現象です。

黒字倒産の仕組み

黒字倒産が発生する背景には、いくつもの要因があります。
その中でも大きな要因は、キャッシュフローの悪化です。
例えば、売掛金の未回収や支払いサイトの長期化、加えて過剰な在庫が資金をロックしてしまうことで、現金が手元に十分確保されない状況が作られます。

また、新規事業への過大な投資や市場の急激な変化も、資金繰りを悪化させる要因となります。
これらの状況に迅速に対応できない場合、黒字倒産へとつながる可能性が高まります。

つまり、前述した黒字でも資金が不足している個別理由の延長には、黒字倒産が待ち受けているといえるでしょう。

黒字倒産を防ぐための回避術

キャッシュフローを重視した財務管理

黒字倒産の主な原因として、キャッシュフローの管理が不十分であったケースが多く挙げられます。
帳簿上は利益が出ていても、現金の出入りに目を向けなければ、突然の支払いに対応できなくなることがあります。

そのため、経営者は「黒字経営=安全」という誤解を捨て、キャッシュフローを中心とした財務管理に注力する必要があります。
定期的なキャッシュフロー計算書の作成や、収支のバランスを細かく監視することが重要です。

資金繰りを見える化する資金繰り表の活用

資金繰り表の作成と運用は、会社の経営状態を可視化する有力なツールとなります。
資金繰り表は、現金の入出金を時系列で把握し、いつどれだけ資金が不足する可能性があるのかを予測するものです。

これを用いることで、事前に問題を発見し、速やかに対策を講じることが可能になります。
特に中小企業では、資金繰り表を活用して短期および中長期の資金計画を立案することが、経営の安定に直結します。

終わりに

経営者自身は常に意識改革が必要となり「黒字だから安心」という考えではなく、資金の流れや現金残高の重要性を深く理解する必要があります。
特に、帳簿上の利益だけでなく、実際のお金の動きに着目することで、黒字倒産の兆候を早期に発見できる可能性が高まります。

黒字倒産は、一見すると予期しづらい問題でもありますが、適切な対応を取れば未然に防ぐことが可能です。
最も重要なのは、早期の段階でリスクを把握し、対策を講じることです。

キャッシュフロー表の活用や売掛金回収の効率化、在庫の適切な見直しなど、経営に必要な基本的な管理を徹底することが挙げられます。
そして、必要に応じてM&Aやファクタリングなどの資金調達手段を活用することで、安定した経営基盤を築くことができます。

記事の投稿者

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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