リバースモゲージとリースバックの違いは?

相続に関するお客様のお悩みを聞いていると、自宅(持ち家)の処分方法について悩まれている方が多いようです。
子供が独立をして実家に戻る予定がない、また子供がおらず夫婦二人で暮らしている方に多く見受けられます。
さらに、併せて悩まれているのが老後資金の心配です。

そこで今回は相続や終活を考慮した上で、自宅を所有し続ける「リバースモゲージ」と、売却する「リースバック」について解説していきます。

リバースモーゲージとリースバックは、どちらも自宅を活用して資金を調達する方法です。
主に「自宅を持っているが手元の現金が足りない」という人に向けたサービスで、高齢者を中心に利用されることが多いです。
ただし、両者には仕組みや特徴に大きな違いがあるため、目的や状況に応じてどちらが適しているかを検討することが大切です。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージは、自宅を担保として金融機関から融資を受ける仕組みのローン商品です。
契約者は借りたお金の利息だけを毎月支払い、元金は契約者が死亡した際に自宅を売却して一括返済されます。
このため、契約者が生存している間は、自宅に住み続けることができるのが特徴です。

ただし、リバースモーゲージを利用するには、一定の条件を満たす必要があります。
主に、利用者の年齢や持ち家の評価額がポイントとなります。

多くの場合、利用者の年齢は50歳以上または65歳以上など、金融機関によって基準が設けられています。
また、自宅が担保として認められる必要があり、物件の評価額や立地によって融資の可否が左右されることもあります。

さらに、民間の金融機関だけでなく、各都道府県の社会福祉協議会でもサービスを提供しているため、それぞれ異なる条件や特徴を比較し、自分に最適な選択肢を見つけることが大切です。

リースバックとは

リースバックは、自宅を売却して資金を得たうえで、売却相手と賃貸契約を結ぶことで、自宅に住み続けられる仕組みです。
これは不動産取引の一環であり、一度売却して得た資金を自由に使えるだけでなく、契約を続けることで転居をせずに済む点が魅力です。

リースバックの場合、所有権は売却先に移転します。
そのため家の所有者でなくなる一方、利用条件に年齢制限がないため、急な資金が必要な若い世代にも利用されるケースがあります。

リースバックを利用する際には、契約内容を十分に確認することが重要です。
特に、売却価格や賃料設定については、慎重に判断する必要があります。

市場価格に見合った金額での売却ができているか、また賃料が現実的な範囲内に収められているかをしっかりと精査しましょう。

また、賃貸契約期間についても詳細を把握する必要があります。
たとえば、契約が更新できなくなった場合、転居を余儀なくされる可能性があるため、長期的な居住プランを確認しておくことが大切です。

さらに、事業者の選定も重要なポイントです。リースバックを提供する業者ごとに条件や対応方法が異なるため、信頼性の高い事業者を選ぶようにしましょう。
他社との条件を比較検討することで、より良い契約条件を選択する助けになります。

それぞれのメリット・デメリット

リバースモゲージのメリット

リバースモーゲージの最大のメリットは、自宅に住み続けながら資金を調達できる点です。
特に、高齢者にとっては老後の生活費を確保しつつ、住み慣れた自宅での生活を維持できることが大きな魅力です。

月々の支払いが利息分のみで済むため、返済負担が軽減されるという点も特徴的です。
さらに、家を売却せずに資金調達できるため、所有権が残ることも利用者にとって安心材料となります。

リバースモゲージのデメリット

一方で、リバースモーゲージにはいくつかのデメリットもあります。
まず、利用条件が金融機関ごとに異なり、年齢や持ち家の評価額など一定の基準を満たす必要があります。

また、借入金に対する金利変動リスクがあり、金利上昇によって負担が増える可能性があります。
加えて、利用者の死亡時に自宅を売却して返済が行われるため、遺族に住宅を残せない場合がある点も注意が必要です。

これらの理由から、事前にリバースモーゲージの仕組みや契約条件を十分確認することが重要です。

リースバックのメリット

リースバックの最大のメリットは、自宅を売却した後も住み続けられる点です。
これにより、住み慣れた環境や地域とのつながりを維持しつつ、急な資金が必要な場合でも自宅を活用して資金を得ることができます。

さらに、売却で得た資金は自由に使えるため、住宅ローンの完済や教育資金、医療費など幅広い用途に活用可能です。
リバースモーゲージと比較して、リースバックは年齢制限がなく利用しやすいという点もメリットとして挙げられます。

高齢者だけでなく、幅広い年齢層の人が利用できるため、年齢条件を満たさない場合でも資金調達の選択肢となり得ます。

リースバックのデメリット

リースバックのデメリットとしては、所有権が購入者に移ることで、自宅を完全に手放す必要がある点が挙げられます。
このため、自宅を相続させたいと考えている方には不向きな方法と言えます。

また、賃貸契約のため、賃料を継続的に支払う必要があり、支出面での負担が続きます。
さらに、売却額や賃料が市場状況に左右されるため、想定通りの資金や生活費を確保できない可能性もあります。

特に売却額が低い場合、資金面での計画が大きく狂うことがあるため注意が必要です。
使用できる年数に上限がないリバースモーゲージと異なり、リースバックでは将来的に賃貸契約が更新されないリスクもあり、長期的な住居の確保が必ずしも保証されるわけではありません。

老後資金を確保したい高齢の方には

リバースモーゲージは、自宅を担保にしてお金を借りる仕組みのため、老後資金を確保したい高齢者に適した選択肢です。
このサービスは、住み慣れた自宅にそのまま住み続けながら資金を得られるため、生活環境を変える必要がありません。

また、借入金の返済は契約者が死亡後に行われるのが特徴であり、生前は利息の支払いだけで済むため、月々の負担が軽減されます。
特に、自宅を手放したくない方や、将来的な相続を気にしない方には大きなメリットがあります。

相続を気にしない方には

自宅を売却して資金を調達したい場合にはリースバックがおすすめです。
リースバックは売却した自宅にそのまま住める仕組みを提供するため、転居の必要がありません。

その一方で、売却先に対して賃貸料を支払う必要がありますが、売却によって得た資金を自由に使用できる点が魅力です。
特に相続を重視しない方や、金融機関の審査を苦手とする方にとっては利用しやすい方法といえます。

終わりに

リバースモーゲージとリースバックを併用して利用することは基本的に不可能です。リバースモーゲージは自宅を担保にするため、自宅の所有権を保有していることが条件となります。

一方で、リースバックでは自宅を売却することで所有権が移転するため、両者の仕組みが相反するからです。

ただし、金融状況や契約条件によっては、リースバック物件を新たに購入し、リバースモーゲージを利用するような選択が可能なケースもあるため、専門家に相談することをおすすめします。

記事の投稿者

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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