資金の種類!?運転資金と設備資金の違いは?

事業を運営するにおいて、適切な資金管理、戦略的な資金調達、つまり資金繰りは極めて重要です。
資金繰りは、お金の出し入れについて管理することですが、お金を管理するといってもお金に色はついていません。
具体的にどのように管理すれば良いのでしょうか。

ここでは、資金を運転資金と設備資金に明確に色分けすることで、資金繰りにどのような影響を与えるのかを解説していきます。

運転資金とは

運転資金とは、会社を運営していく上で、日常的に必要な資金のことです。
仕入れ代金や人件費、その他の諸経費としては地代家賃や水道光熱費なども運転資金に該当します。

運転資金の特徴としては、お金の回転が速く、金額的には、比較的少額であることがあげられます。
通常の営業活動の中で発生する債権債務の回収および支払いの期間は、1年を超えることは多くありません。
仕入代金であれば、毎月支払う必要があり、人件費やその他の諸経費も同様です。

また、運転資金は経営が安定していると、その金額は一部の季節資金を除き一定であるといえます。
人件費はほぼ一定であり、仕入れ代金の支払いも売上高に大幅な変動がない限り、それほど大きく変動することはありません。

短期的な資金調達としての運転資金

運転資金は短期的な資金調達の一環として位置付けられることが多いです。
大口顧客への販売後に売掛金の入金が遅れる場合や、季節変動により売上が一時的に減少する場合など、短期的な資金不足を補うために運転資金を調達します。

事業拡大や新規取引先との契約開始時にも運転資金が必要となるケースがあります。
銀行や日本政策金融公庫では、運転資金専用の融資プランを用意していることが多く、これらのサービスを適切に利用することが重要となります。
ただし、短期資金調達には返済計画の明確化が求められるため、慎重に注意点を見極めることが大切です。

運転資金管理のポイント

運転資金を適切に管理することは、事業の安定的な運営に直結します。
日々のキャッシュフローを正確に把握し、収益に対して支出が過剰になっていないか確認することが大切です。

また、売掛金の回収状況や在庫の適正量をチェックすることで、資金繰りの効率化を図ることができます。
さらに、万が一の資金不足に備え、短期的に活用可能な金融機関の融資枠やクレジットラインを確保しておくことも推奨されます。

適切な運転資金管理によって、事業の成長に必要な安定した経営基盤を築くことが可能になります。

設備資金とは

設備資金とは、設備投資のための資金であり、金額的に大きくなり、その回収には長期間かかるという特徴も備えています。

例えば、新しい機械、設備、不動産、または輸送機器の購入が含まれます。
これらの資産は、企業の生産性を向上させたり、新たな市場を開拓したりするために必要となります。

また、設備の改良として、既存の設備や資産の改善やアップグレードにかかる費用も、設備資金の一部です。
これにより、効率性が向上し、修繕やメンテナンスコストが削減される効果が期待できます。

設備資金の返済期間とその特性

設備資金の返済期間は比較的長期に設定されることが一般的です。
これは、購入した設備や施設が事業に長期的に貢献する性質を持つためです。

例えば、店舗改築や大型機械の導入といった設備は、短期間でその効果を回収するものではなく、数年にわたって利益を生み出すものと見なされます。
そのため、金融機関による設備資金の融資には、長期返済が許容されるケースが多いです。

ただし、返済計画を立てる際には、設備の耐用年数や稼働状況を充分に考慮しなければなりません。

活用する際に注意すべきポイント

設備資金を活用する際には、いくつかの注意点があります。
まず第一に、資金の使い道を明確にすることが必要です。
金融機関から融資を受ける場合、具体的な使用目的や見積書・請求書の提出が求められることが多いためです。

また、設備資金は長期的な投資であるため、どの程度の利益を生む可能性があるかを事前に慎重に検討しなければなりません。
加えて、過剰な借入は財務の健全性を脅かす原因になるため、必要な資金額を適切に見積もることも重要です。

さらに、融資を受けた資金を事業以外の用途に使用すると、信用を失う可能性があるため、取り扱いには慎重さが求められます。

資金の色分けのポイント

運転資金と設備資金を色分けして管理するには、期間が重要になってきます。
運転資金は短期で回る資金であり、設備資金は長期で回る資金となります。
この特徴を踏まえ、資金を管理することが、事業を継続する上では求められます。

例えば、工場を建設するために銀行から3年返済で借り入れをし、資金を賄ったとします。
この場合では、必要な資金は工場用建物なので設備資金に該当します。

設備資金はその回収には長期間必要となりますが、返済は3年でしなければないため、資金のバランスが崩れ、いずれ資金が不足してしまうことは明らかです。
設備資金ということで、長期間で調達(少なくと7年~10年程度)することが望ましいといえます。

資金調達時の注意点と金融機関の視点

運転資金や設備資金を調達する際には、それぞれ特有の注意点があります。

運転資金を調達する際には、キャッシュフロー管理が重視されます。
事業所の収支が安定しているか、運転資金に過不足がないかを金融機関は厳しくチェックします。
これらの観点から、資金調達時には資金用途や事業の健全性を明確に示すことが求められます。

一方、設備資金の場合は、資金が事業の成長にどう寄与するかが鍵となります。
そのため、具体的な使用目的が明確であり、事業計画をしっかりと立てた上で金融機関に説明できることが重要です。
特に設備資金は、一度の支出が大きいため、リース契約や自己資金をどの程度投入するかも検討すべきポイントです。

また、運転資金と設備資金のいずれを調達する場合でも、申請に必要な書類(見積書、請求書、契約書など)の準備を怠らないようにすることが重要です。
適切な資金計画を立てることで、事業活動をスムーズに進めることが可能となります。

終わりに

運転資金は日常の業務運営に必要な経費をカバーするために使われ、設備資金は長期的な投資と資産の取得に関連し、将来の価値を創造するために使われます。

両者は企業の資金計画と会計処理において異なる役割を果たし、これらの資金の色分けをすることで、最適な資金のバランスを取ることが、資金繰りの最大の目的であるといえます。

記事の投稿者

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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