車社会を生き抜くための身体障がい者手帳の支援制度

皆さん、こんにちは。行政書士の國本です。

都会では公共交通機関の発達により、車を所有しなくとも快適な生活を送ることができているようです。
しかし、地方都市では多くの場合で通勤や買い物に車がメインで使用されており、車の無い生活は成り立たないでしょう。
特に障がいを持たれている方にとって、公共交通機関の活用ハードルはまだまだ高く、車はまさに自分の足であり必要不可欠な存在です。
今回は身体障がい者手帳を上手く活用した、車社会を生き抜くうえでの支援制度をいくつかご紹介します。

身体障害者手帳とは

日本では総人口1憶2,300万人のうち約7.5%にあたる930万人の人が何らかの障がいを持っており、そのうち身体がい害者は430万人といわれています。
周りの身近な人にも障がいをお持ちの方がいるのではないでしょうか。
障がい者手帳は、身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の3種類に分類され、身体障がい者手帳は身体の機能に一定程度の障がいがあると医師に診断されれば交付申請が可能となります。
【法律根拠】
身体障害者福祉法
【交付主体】
都道府県知事、指定都市の市長、中核市の市長
【障害分類】
視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、心臓機能障害 等
【等  級】
1級~7級
ただし、7級は2つ以上の障がいがある場合に限り交付申請が可能となります。

身体障がい者手帳の支援制度

身体障がい者手帳を持っていると様々なサポートを受けることができます。
例えば、補装具の助成やリフォーム費用の助成、さらには公共交通機関の割引などがありますが、ここでは車を所有している場合の支援制度をご紹介します。

自動車取得税(環境性能割)の減免

自動車取得税(環境性能割)は、車を購入など取得時に課税される県税で、身体障がい者手帳により減免申請することが可能です。

税率・・・取得価額の3%(軽自動車は2%)
減免申請先・・・県税事務所
減免割合・・・全額
必要書類・・・身体障がい者手帳、車検証、運転免許証

車両に対して取得したときに一度きり課税され、自動車販売業者を介して購入する場合は、事業者が手続きの代理をしてくれることが多いです。

自動車税(種別割)の減免

自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点で車を所有している者に対して課せられる県税で、身体障がい者手帳により減免申請することが可能です。

税額・・・排気量により異なる
≪例≫
1000cc超 1500cc以下 30,500円
1500cc超 2000cc以下 36,000円
2000cc超 2500cc以下 43,500円
※エコカー減税適用前の税額です。
申請先・・・県税事務所
減免割合・・・全額
必要書類・・・身体障がい者手帳、車検証、運転免許証

自動車取得税とは異なり毎年課税される自動車税ですが、所有状況の変更がない旨を県税事務所に回答することで、引き続き減免の措置を受けることができます。

有料道路の割引

高速道路を含む有料道路の利用料金に対する割引を受けることができます。

申請先・・・手帳を管理している福祉担当窓口
割引率・・・50%
必要書類・・・身体障がい者手帳、車検証、運転免許証
(ETCカード、ETC車載器セットアップ証明書)

有料道路における障がい者割引制度の適用は、これまで障害者1人につき車両1台とされていましたが、制度の見直しにより要件が緩和されました。
令和5年3月27日以降は、事前のオンライン申請を条件に、タクシー乗車時やレンタカーの利用時にも適用されることとなりました。

駐車禁止除外標章

駐車禁止除外標章を掲示することで、駐車禁止区域での駐停車ができるようになります。
例えば、車両への乗車スペースが十分に確保できない狭小地の駐車場(中心街や商店街)では、車いすユーザーの利用が自ずと制限されます。
そこで、本来の禁止区域を駐停車場として特例開放することで、車いすユーザーを支援します。

申請先・・・警察署
必要書類・・・身体障がい者手帳、車検証

ただし、以下のような場所では、駐車禁止除外標章を掲出しても駐車することはできません
1.停車および駐車を禁止する場所
・道路標識等により駐停車が禁止されている
・交差点、横断歩道、踏切、トンネル
・道路の曲がり角から5m以内 等
2.法定の駐車禁止
・駐車場などの自動車用の出入り口から3m以内
・道路工事区域の側端から5m以内
・消防用機械器具の置き場から5m以内 等
3. 無余地場所
・駐停車した車両の右側に3.5m以上の余地がない
4.停車または駐車の方法に従わない駐車
・歩道上、駐車禁止路側帯上
・一方通行道路での進行方向と逆向き 等

また、有効期限は交付されてから3年間で、更新するには新規申請と同様の手続きが必要となります。
制度の趣旨と道路交通法をよく理解したうえで、利用することが大切です。

終わりに

ここで紹介した以外にも、身体障がいにより車両を特別に改造をした場合における、改造部分の補助や消費税の非課税制度など、他の支援制度も充実しています。
各自治体および障がい等級により支援制度の内容は異なることもあるので、制度の利用を検討する際は、お住いの役所(福祉担当窓口)に問い合わせることから始めましょう。

記事の投稿者

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
愛媛県松山市南江戸3丁目10-15
池田ビル103号
TEL:089-994-5782
URL:https://kunimoto-office.net/

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