土地の公的な価格は4種類もある?
皆さん、こんにちは。行政書士の國本です。
相続税や贈与税の算定基準となる路線価が7月3日に国税庁より公表されました。
新型コロナウイルスの影響が減少した昨年に続き、路線価は2年連続で上昇し、平均の変動率は前年比で1.5%増加しました。
コロナ禍による入国制限が撤廃されるなど、商業活動の再開により、回復傾向が顕著にみられたのも特徴です。
都道府県別の変動率では、上昇したのは25都道府県で、トップは北海道の6.8%であった一方で、下落したのは20県で、下落率が最も大きかったのは和歌山の1.2%です。
また、四国は全県で下落しましたが、いずれも下落率は1%未満にとどまったようです。
毎年同じような時期にこのようなニュースをよく耳にしますが、路線価や公示価格が土地の価格であることは理解されていますが、それぞれにどのような違いがあるのか、詳細まで把握されている方は少ないようです。
今回は、土地の公的な価格についてそれぞれ解説していきます。
土地の公的な価格
土地の公的な価格には、地価公示価格、基準値標準価格、固定資産税評価額、相続税評価額(路線価)があり、 それぞれの価格は、土地の種類や用途、地域などによって異なります。
地価公示価格
地価公示価格とは、国土交通省が公表する土地の価格のことで、不動産に関するさまざまな価格の基礎となる公的な価格です。
土地の取引や資産の評価の目安となるもので、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準・指標としても活用されます。
特定の地点の1平方メートルあたり単価であり、その周辺の土地の実勢価格を基に設定されます。
基準日・・・1月1日(毎年)
公表日・・・3月下旬
決定機関・・・国土交通省
基準値標準価格
基準値標準価格とは、都道府県調査地価とも呼ばれます。
国土交通省が公表する土地の価格で、標準地の鑑定評価の基準に関する省令、不動産鑑定評価基準等に基づく評価手法により判定された売り手、買い手の双方に売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情がない取引において成立すると認められる価格(正常な価格)を示すものです。
「当道府県地価調査」により公表された土地価格であり、公示価格に近しいものはありますが、基準値標準価格は国土利用計画法施行令第9条に基づいて、各都道府県知事が毎年9月下旬に公表しています。
基準日・・・7月1日(毎年)
公表日・・・9月下旬
決定機関・・・都道府県
評価割合・・・100%
※ 評価割合は、公示価格を100%とした場合の評価割合です。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める基準になる評価額のことで、土地と建物を分けて計算されます。
市町村が毎年1月1日時点における土地、家屋等(固定資産)の所有者に対し、その固定資産税評価額をもとに固定資産税が賦課されます。
土地の場合は、土地の面積と地目、地勢、用途、位置、形状、地価等を考慮して算出されます。
基準日・・・1月1日(3年に1度評価替え)
公表日・・・3月または4月
決定機関・・・市町村
評価割合・・・70%
相続税評価額
相続税評価額とは、相続税を計算する際に用いる財産の価値を評価するもので、相続が発生した日におけるその財産の価値(換金したときの価格)を基準としています。
また、路線価とも呼ばれ、路線に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額のことで、土地を評価する際に用いられます。
建物や土地などの各財産の財産評価基本通達に基づいて相続税評価額を求めます。
基準日・・・1月1日(毎年)
公表日・・・7月初旬
決定機関・・・国税庁
評価割合・・・80%
終わりに
土地の評価は、土地の位置、面積、用途、地域の需要と供給など多くの要因に影響されるため、専門家の知識と経験が重要となります。
公的な土地評価情報は一般に地方自治体の不動産評価部門などが管理していることが多いため、目的を明確にし適切な情報を収集することが大切です。
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