研修会(成年後見制度)参加してきました。
皆さん、こんにちは。行政書士の國本です。
先日、愛媛県行政書士会が主催する、民亊法務研修会に参加してきました。
テーマは『行政書士による成年後見制度の具体的な取組み例について』で、講師は高知県で成年後見制度の取組みに力をいれている行政書士の方でした。まだ30歳代の若い方でしたが、早くから成年後見制度に携わっており経験豊富で、実務上の具体的なポイントや今後の課題等をお話しいただきました。
高知県では、成年後見制度に関わる行政書士の立場が、一定程度確立されているようで、愛媛県もそこに追い付け追い越せといった感じのようです。もちろん、高知県でのこの成果は、今回講師の方を始めとする多くの方々の、これまでの努力の賜物であることは間違いありません。
成年後見制度とは、認知症や知的障がいなどの精神上の障がいにより、判断能力が不十分なため、生活していく上での契約等の法律行為が困難な方を保護する制度です。家庭裁判所への申立てや契約により、本人を援助する者が選任され、その者には本人を代理する権利が与えられます。
例えば、ご高齢の一人暮らしの方が認知症を発症したとします。ご主人はすでに他界され、お子様も遠方で家庭を築かれており、事実上サポートが難しい状況であったとします。そこで成年後見制度により後見人を選任し、本人の生活状況の確認や財産管理を任せるのです。
役割としては、関係者と連携をとり本人の健康状態の把握や精神上のサポートはもちろんのこと、生活費の管理や施設利用料の支払いまで多岐にわたります。また、親族との連携も重要で、葬儀会社の手配や墓地の確認等、不測の事態に備えた準備もかかせません。
しかし、後見人は家族ではありませんので、適度な距離感を保つことも大切です。日常生活の支援は介護士などの専門の方に依頼するし、通院には介護タクシーを利用してもらうといった感じです。要するにご本人が不自由なく生活していけるように、それに関わりのある人達または行政などとのパイプ役を担っているのです。
このように成年後見制度は、非常に意義のある制度であるにもかかわらず、世の中にあまり浸透していないのはなぜでしょうか?そこには、後見人への報酬問題や後見人の管理財産の使い込みなどの不正が関係しているのだと思います。それらを解消するためには、介護保険制度が円滑な運用を実現したと同様に、国や各自治体の積極的な介入が必要なのではないでしょうか。
当事務所として、成年後見制度を積極的に取り組んでいくかはまだ検討中ですが、行政書士のビジネスモデルとして、まだ確立されていない分野に飛び込むのも、非常に興味深いと感じました。