事業者の見方、小規模事業者補助金とは(概要編)

国や自治体が実施している補助金は数多くありますが、採択率の高さ補助金の使用用途比較的簡便な申請手続きなど総合的に判断すると、小規模事業者持続化補助金は、非常に使い勝手の良い補助金といえるでしょう。
小規模事業者持続化補助金について、今回から「概要編」、「申請編」、「事業実施編」の3回にわたり解説していきます。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、物価高騰や賃上げなど今後困難が直面するとされる小規模事業者等に対して、事業の生産性の向上と持続的発展を図るための支援を目的としています。
営利法人や個人事業主など、小規模事業者であれば基本的には補助の対象となり、業種ごとに常時雇用している従業員数により小規模事業者であるかの判断がされます。

商業・サービス業・・・5人以下
宿泊業・娯楽業・・・20人以下
製造業その他・・・20人以下

ただし、医師や社会福祉法人など一定の者は補助の対象とならないので注意が必要です。
なお、開業届を提出し事業を開始していれば補助の対象となるので、事業開始間もない事業者の方も是非ご検討されてはいかがでしょうか。

補助事業の要件

補助の対象となる事業には要件が設けられており、全ての事業が対象となるわけではありません。
例えば、マージャン店やパチンコ店など、事業内容が射幸心をそそるおそれがあるものや、公的な支援を行うことが適当でないと認められるものは対象外となります。

【補助事業の要件】
・策定した経営計画に基づく販路開拓に取り組む(販路開拓に伴う業務の効率化の取組みでも可)事業である
経営計画書兼補助事業計画書の作成においては、販路開拓等(生産性向上)の取組内容や補助事業の効果などを記載し、経営状況分析の妥当性や補助事業計画の有効性が求められます。
審査が実施されるうえで、非常に重要なポイントとなりますので、具体的な作成手順の詳細については『申請編』で解説します。
・商工会、商工会議所の支援を受けながら取り組む事業である
申請必要書類の中には、商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が含まれており、事業者が作成した経営計画書に基づき作成されます。
計画内容に問題があったり、申請上の不備などがあれば指摘されますので、申請までに経営計画を見直し、修正することができます。
もちろん、補助金申請を検討する段階で、補助事業の対象要件や、申請方法についてアドバイスを受けることも可能です。
商工会、商工会議所の会員でなくても対象となるので安心て利用してください。

補助金の種類と内容

小規模事業者持続化補助金は、前述の要件を満たせば対象となる通常枠と、さらに追加で要件を満たす必要がある特別枠に分けられます。

【通常枠】
補助率・・・2/3
補助上限・・・50万円

【特別枠】
補助率・・・2/3
(賃金引上げ枠の赤字事業者3/4)
補助上限・・・200万円
特別枠の要件は以下のとおりとなりますが、それぞれ厳格な要件が定められていますので、検討される際は要領をしっかりと確認してください。

≪賃金引上げ枠≫
事業場内の最低賃金が、申請時の地域別最低賃金より30円高い 等
≪卒業枠≫
常時使用する従業員の数が、小規模事業者であると定義する従業員数を超える 等
≪後継者支援枠≫
「アトツギ甲子園」のファイナリストまたは準ファイナリストになった事業者
≪創業枠≫
「特定創業支援等事業」による支援を過去3年間に受け、開業した事業者

また、2023年10月から開始されるインボイス制度の導入に伴い、2021年9月30日から2023年9月30日の間に免税事業者であった事業者等が、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、補助上限が一律50万円上乗せされます。
これは、通常枠、特別枠において共通の優遇措置となっています。

補助の対象となる経費

以下の補助の対象となる経費のうち、経営計画の補助事業計画で申請しているものに限り、補助金の対象となり、これ以外の経費の支出に対しては補助されません
また、見積書や請求書などの必要な経理書類を収集できない場合や、交付決定前に発注、支出した経費に関しても補助の対象外となるので充分に注意してください。

【機械装置等費】
補助事業を行う上で必要な機械装置等の購入経費が対象となりますが、既存機械装置の単なる取り換えなどは補助の対象外となります。

【広告費】
チラシ、パンフレット等により、補助事業の商品・サービスの広報を目的としたものが対象となりますが、一般的な会社案内や名刺などは補助の対象外となります。
また、試供品や未配布のチラシ等についても同様に補助の対象外となり、ウェブ広告費などはウェブサイト関連費に含まれます。

【ウェブサイト関連費】
ウェブサイトやECサイトのなどの構築、改修、運用に付随する経費であり、補助交付申請額の1/4が上限となります。

【展示会等出展費】
展示会に出展するための参加費や商品等の運搬費が補助の対象となりますが、レンタカー代やガソリン代は補助の対象外となります。

【旅費】
展示会の出展や新商品開発における現地調査などの宿泊費および交通費が補助の対象となります。

【開発費】
新商品の試作品など開発に伴う原材料、設計、製造にかかる経費が補助の対象となります。

【資料購入費】
補助事業を行う上で必要な図書等の購入経費が補助の対象となりますが、10万円以上のものは補助の対象外となります。

【雑役務費】
臨時に雇用した者のアルバイト代、派遣労働者の派遣費用などが補助の対象となりますが、通常の事業にも伴う雇用にかかる経費は補助の対象外となります。

【借料】
補助事業を行う上で必要な機器などのリース料およびレンタル料が補助の対象であり、PRイベントやセミナー開催の会場使用料もここに含まれます。

【設備処分費】
補助事業を行う上で、不要設備を処分することで作業スペースの確保ができる場合などにおいて、設備の処分・廃棄費用等が補助の対象となります。

【委託・外注費】
前述したいずれにも該当しない経費であり、業務の一部を第三者に委託または外注にかかる経費が補助の対象となります。

手続きスケジュール

申請受付から実績報告までの手続きスケジュールは以下のとおりとなります。

終わりに

小規模事業者持続化補助金の大まかな概要を説明してきました。
特に通常枠(一般型)は、補助上限金額50万円(補助率2/3)であるものの、緩和された申請要件により、事業者にとって最も関心の高い補助金といえるでしょう。
次回「申請編」では通常枠を中心に申請時の注意点などを解説していきます。

事業者の見方、小規模事業者補助金とは(申請編)はこちら

記事の投稿者

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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