農地法3条・4条・5条許可のそれぞれの違いとは
農地法は、日本の農地を守りつつ、国民の食料供給の安定を図るために制定された法律です。
農地や採草放牧地の他の用途への転用や、農業をしない者が農地や採草放牧場を取得することを制限しています。
その中でも農地法3条、4条、5条は、農地の権利や用途の変更に関わる重要な条文です。
農地法3条・4条・5条許可のそれぞれの違いとは
ここでは、それぞれの条文の違いについてわかりやすく解説していきます。

農地法3条:権利移動
農地法3条は、農地の所有権を他者に移転したり、賃借といった権利を設定する際に適用されます。
例えば、農地を購入または貸借して使用する場合などには、農業委員会への許可申請が必要です。
この許可がなければ、契約は無効となり、最悪の場合、農地を原状回復しなければならないケースもあります。
また、無許可で取引を行った場合には、個人では3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金といった厳しい罰則が規定されています。
申請の際には、農地の利用計画が適正であるかどうかが判断されます。
そのため、事前に利用計画を入念に準備し、適正に運用することが重要です。
農地法4条:自己転用
農地法4条は、農地を農地以外に転用する場合、つまり、用途を変更する際に適用されます。
この場合の特徴は、農地の持ち主が同じままであることです。
例えば、自分の農地に住宅を建築したり、商業施設を設けるケースが該当します。
最近では農地を整備し転用後、ソーラーパネルを設置する事例も増えているようです。
このような転用を行うためには、自治体の知事(指定市町村では市町村長)の許可が必要になります。
特に農地を守る観点から、転用の影響や目的について厳しく審査されるため、正確で詳細な転用計画書を提出することが求められます。

農地法5条:転用目的の権利移動
農地法5条は、農地の権利移動を伴いながら、その農地を農地以外に転用する場合に適用されます。
具体的には、他人から農地を購入したり賃借した上で、その農地を住宅地や商業地などに転用する場合を指します。
この場合、権利の移動と転用の両方に許可が必要であり、申請の受付や許可の審査は農業委員会あるいは自治体の知事(または市町村長)が行います。
農地法3条と4条の手続きが複合的に求められるため、しっかりとした書類準備と計画が鍵となります。
また、許可が下りた後も、計画通りに利用を進めなければならない点に注意が必要です。
転用許可が不要になる特例
農地を転用する際に必ずしも許可が必要というわけではなく、一部の場合では特例が適用されます。
例えば、市街化区域における農地の転用については、農地法では許可ではなく届出で対応することが可能です。
これは、都市計画上、市街化が前提とされている地域であるためです。
また、遺産分割や離婚による財産分与といった特定の状況で権利が移転する場合や、農地を農業用施設(2アール未満)として使用する場合も、許可が不要となる場合があります。
しかし、多くの特例は条件が細かく規定されているため、事前に確認して対策を講じなければなりません。

終わりに
農地転用を成功させるためには、最初の計画段階で適切な方針を定めることが重要です。
農地転用は、対象となる農地の種類や立地条件を正確に把握し、転用後の利用目的を明確にする必要があります。
また、農地法のみならず都市計画法などの関連法律を十分に理解し、必要な許可や届出内容についても事前に確認しておかねければなりません。
特に、市街化区域内農地なのか市街化区域外農地なのかによって手続きが異なるため、慎重な計画が求められます。
許可(届出)の種類によっては非常に煩雑な手続きが伴います。
確実に農地転用を実行したい場合は、行政書士など専門化にご相談することをおすすめします。
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