補助金申請の実務について

皆さん、こんにちは。行政書士の國本です。

先日、愛媛県行政書士会松山支部の令和4年度第3回研修会が実施され、私も参加してきました。
研修内容は「補助金申請の実務と注意点」と「事業計画の作成について」の2部構成によるもので、講師は補助金申請に精通されている、松山市内でご活躍の2名の先輩行政書士の方でした。

弊所は、相続・遺言手続きと共に、事業者様への経営サポートとして、補助金申請もコア事業に位置付けており、前職での補助金採択の実績や、弊所自身が申請した補助金の経験も十分に活かせると考えております。
しかし、これまでの経験はあくまで申請者としての立場に過ぎず、専門家として第三者の立場からサポート実績のある、諸先輩方の貴重な経験を共有していただき、大変勉強になりました。
また、申請書の作成方法などの事務手続きの注意点のみならず、補助金申請に関与する者としての心得や、お客様と信頼関係を構築するためのポイントなど、幅広い視点での講義となりました。

補助金の種類

補助金は、政策目的に沿った事業に対し給付されるお金であり、事業者の新規事業の支援や雇用の安定などを目的としています。
中小企業庁などが主管となる国によるものと、愛媛県や松山市が主管となる各自治体によるものに大別され、その年間発表件数は数千種類にも及びます。

今回の研修では、補助金の具体的内容には触れられませんでしたが、国による補助金としては、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」・「事業再構築補助金」、愛媛県独自の補助金としては、「物価高騰対策設備投資支援補助金」の簡単な紹介がありました。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通常枠)

【お勧めの事業者様】
 革新的な製品・サービス・生産プロセスにより業務の効率化を図りたい事業者様

【補助事業の目的】
 中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援

【補助率】
 小規模事業者:2/3
 中小企業様:1/2

【補助上限金額】
 従業員数
 5人以下 :100万円~750万円
 6人~20人:100万円~1,000万円
 21人以上 :100万円~1,250万円

【補助対象の投資】
 機械装置・ システム構築費、運搬費、原材料費、広告宣伝・販売促進費 等

事業再構築補助金(通常枠)

【お勧めの事業者様】
 新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編を目指す事業者様

【補助事業の目的】
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経の構造転換を促す

【補助率】
 中小企業者等:2/3 (6,000万円超は1/2)
 中堅企業等:1/2(4,000万円超は1/3)

【補助上限金額】
 従業員数
 20人以下:100万円 ~ 2,000万円
 21~50人:100万円 ~ 4,000万円
 51~100人:100万円 ~ 6,000万円
 101人以上:100万円 ~ 8,000万円

【補助対象の投資】
 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝費・販売促進費 等

物価高騰対策設備投資支援補助金

【お勧めの事業者様】
 省エネルギー化、省コスト化(コスト削減)、生産プロセスの改善等図りたい愛媛県内の事業者様

【補助事業の目的】
 エネルギー、原材料価格等の高騰の影響を受けた愛媛県内の中小企業者等が、省エネルギー化、省コスト化(コスト削減)、生産プロセスの改善等を目的とした設備投資等を行う場合に、その経費の一部を助成することで企業の生産性向上による物価高騰の影響緩和を図り、県内企業の持続的な発展を図る

【補助率】
 1/2

【補助上限金額】
 1,000万円

【補助対象の投資】
 機械装置・工具器具費 、クラウドサービス利用料、ソフトウェア導入費、専門家経費

事業計画作成のポイント

補助金は審査があり、あらかじめ決められた件数、または金額を上限に採択されます。
ここで申請の肝となるのが提出する事業計画で、制度の趣旨に沿った目的の事業であること、客観的に明瞭なビジョンが示されていること、数値的根拠等による実現可能性などが求められます。
事業計画作成のポイントについては、以下のとおりとなりますが、事業計画は補助金の添付資料の役割としてだけなく、健全な事業を持続的かつ継続的に行う上では、必要不可欠なツールとしても知られています。

事業計画作成の7つのポイント

①テーマ
事業内容を簡潔かつ分かりやすく表現し、従業員や外部関係者とも共感できる内容にすることで、事業のビジョンを明瞭にする。

②背 景
当該事業に取り組むに至った経緯やその社会的意義などを明確にし、事業関係者と共有することで、共通の課題に取り組むことができる。

③市場規模
具体的数値を使い市場規模を把握し、目標とする獲得シェアを明確にすることで、実現性や収益性を補完する。

④優位性
他社と差別化を図れる独自性や自社の強みを明らかにすることで、サービス(商品)の幅または質が向上する。

⑤実現性
実現可能なシナリオを立てることで、想定外の事態に陥った時でも、その都度軌道修正を行うことができる。

⑥将来性
当該事業のみならず市場の将来性まで考慮することで、迅速な事業撤退の意思決定など、不測の事態に備えることができる。

⑦収益性
想定する売上と経費(費用対効果)を明確にし、見込み利益を可視化することで、客観性が増し、関係者との情報共有が容易になる。

終わりに

補助金は目的の趣旨を理解し、有効に活用することができれば、我々国民にとって、優れた支援制度であることに間違いはありません。
一方で、煩雑な事務手続きや、補助金自体は後払いといったデメリットがあり、そもそも補助金の存在を知らなければ申請することすらできず、国や自治体から親切に案内してくれることはありません。
制度を知っているか、知らないかにより、享受できる恩恵は大きく変わるため、日頃からの情報収集が非常に大切です。補助金申請に関わる専門家として、お客様に最適なサービス(補助金申請手続き、情報発信)を提供することで、地域社会に貢献できるよう、日々業務に取り組んでまいります。

記事の投稿者

行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
愛媛県松山市南江戸3丁目10-15
池田ビル103号
TEL:089-994-5782
URL:https://kunimoto-office.net/

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