教育資金の準備を計画的に実行しよう!!
幼稚園から大学卒業まで、すべて国公立大学に進学した場合、教育費の総額は約1,000万円、すべて私立に進学した場合は、約2,500万円の費用が必要といわれています。
もちろんこれは、一般的な教育費(学習費)のみの概算であり、進学に伴い親元を離れて暮らす場合は、別途生活費の負担も検討する必要があります。
教育資金は、早めに準備するに越したことはありませんが、準備できない不足額については、教育ローンや奨学金などの利用を検討すると良いでしょう。
今回は、教育資金計画についてご紹介いたします。
教育資金の準備
教育資金は、将来の教育費用を見積もり、必要な金額を把握した上で、具体的な目標を設定することが重要です。
その方法について、いくつか見ていきいます。
こども保険
教育資金を準備する手段の一つとして、こども保険(学資保険)があります。
子どもの進学に合わせて祝い金が支払われたり、満期時に満期保険金が支払われる保険です。
【こども保険(学資保険)主な特徴】
・原則として、親が契約者、子どもが被保険者となる
・契約者である親が死亡または高度障害状態になった場合、祝い金などの支払いは契約に従うが、保険料は免除される
・契約者が死亡した場合、契約者の名意義変更が必要となり、相続税の課税対象となる
・中途解約の際の解約返戻金は、払い済み保険料を下回ることがある
一般財形貯蓄
一般財形貯蓄を活用して教育資金の準備をする方法もあります。
目的は自由で積立期間は原則3年以上、利息は20.315%の源泉分離課税となりますが、積立限度額はなく複数契約も可能です。
金融商品による積立
預貯金での積立てや比較的安全性の高い公社債投資信託などによる積立てがあります。
株式投資信託は、金融機関にもよりますが、子ども名義で購入することも可能です。
また、子ども名義で親が積立てた預貯金を学費に充当する場合は、贈与税の対象外となるケースが多くあります。
生活費や教育費に充当した贈与財産は、扶養者、被扶養者相互間では、社会通念上、必要とみなされるものは課税されないためです。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
受贈者の教育資金に充当するために直系尊属が支出した金銭等に対して、贈与税を非課税とする制度であり、概要は以下のとおりです。
【受贈者】
30歳未満の人
【贈与者】
直系尊属(父母、祖父母など)
【非課税限度額】
受贈者1人につき1,500万円(学校等以外のものに支払われる金瀬については500万円を限度)
【教育資金】
・入学金や授業料など学校等に対して支払われる金銭
・学習塾や習字教室の月謝など学校等以外に対して支払われる金銭
【手続き】
・取扱金融機関経由で、教育資金非課税申告書を納税地の所轄税務署に提出
・教育資金支払いに充てた金銭の領収書等を取扱金融機関に提出
教育ローンと奨学金
ここでは、公的なローンと代表的な奨学金について見ていきます。
公的教育ローン
公的機関の教育ローンとして日本政策金融公庫の国の教育ローンがあげられます。
国の教育ローン(教育一般貸付)の概要は以下のとおりです。
【融資限度額】
学生、生徒1人につき350万円
【資金使途】
学校納付金、受験費用、住居費用、教科書代、パソコン購入費、通学用費 など
【返済期間】
原則15年以内
【金利】
固定金利 年1.95%
【年収要件】
給与所得者の場合
子ども1人・・・790万円
子ども2人・・・890万円
奨学金制度
奨学金には各種奨学金制度がありますが、代表的なものとして日本学生支援機構の奨学金制度があげられます。
【利子】
第1種奨学金・・・無利子
第2種奨学金・・・有利子(年利3%が上限)
【選考基準】
・特に優れた学生および経済的理由(第2種は第1種よりは緩やか)
・保護者の収入等が一定額以下であることが条件
【返還】
卒業後、口座振替による自動引き落としで返還(返還期間最長20年)
【その他】
・第1種奨学金と第2種奨学金を併用することも可能
・第1種奨学金には返還期限を猶予する特例制度がある
・申込時に機関保証と人的保証のいずれかを選択
終わりに
中学生以下の子どもがいる世帯に給付される児童手当を、0歳から中学校卒業まで合計すると総額で約200万円にもなります。
これらをコツコツと貯蓄またはつみたてNISAなどにより運用していく工夫も重要となってきます。
教育資金の準備は時間と計画が必要となるため、国や自治体が準備している制度を有効活用し、目標に向けて着実に貯金を増やしていくことが大切です。
行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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