行政書士法改正に伴う自動車販売関連業務の(車庫証明・自動車登録)適正な運用
コンプライアンス意識の高まりとともに厳格化されている「行政書士法」の解釈と、自動車販売に伴う車庫証明・自動車登録業務の適正な運用について、愛媛県松山市の地域事情に精通する行政書士の視点から徹底解説します。
近年、企業のコンプライアンス(法令遵守)に対する社会の目は非常に厳しくなっています。
これまで「サービスの一環」や「昔からの慣習」として車屋の営業スタッフが行ってきた書類作成業務が、実は行政書士法違反(非弁行為ならぬ非行政書士行為)に問われるリスクを孕んでいることをご存知でしょうか。
この記事では、どのような行為が違法となり、どのような罰則があるのか、そして行政書士に業務を外部委託することでディーラー側にどのようなメリットがあるのかを詳しく解説していきます。

行政書士法と車屋を取り巻く現状
まず大前提として、「官公署(警察署や運輸支局など)に提出する書類を、報酬を得て作成すること」は、行政書士法により行政書士の独占業務と定められています(行政書士法第1条の2、第19条)。
自動車の販売に伴う「車庫証明(自動車保管場所証明)」や「自動車登録(新規・移転・変更登録など)」の申請書作成は、まさにこの「官公署に提出する書類の作成」に該当します。
一昔前までは、ディーラーや中古車販売店のスタッフが、お客様に代わって委任状をもとに申請書に記入し、警察署や陸運局へ持ち込むことが「サービスの一環」として黙認されているような風潮がありました。
しかし、法令遵守への意識が高まる中、無資格者による書類作成(いわゆる「代書」行為)に対する取り締まりや指導は年々厳格化しています。
「書類作成」と「提出代行」の違い
ここで必ず理解しておかなければならないのが、「書類作成」と「提出代行(使者としての提出)」の違いです。
書類作成(行政書士の独占業務)
お客様の代わりに、申請書に住所や氏名、車台番号などを記入・作成する行為。
提出代行(無資格者でも可能)
お客様自身がすべて記入・完成させた書類を、単に警察署や運輸支局の窓口へ「持っていく」だけの行為。
お客様から「登録代行費用」や「車庫証明取得費用」といった名目で金銭(報酬)を受け取り、販売店のスタッフが申請書に記入・作成している場合、それは行政書士法違反(非行政書士の業務実施)に該当する可能性が極めて高いのです。

車庫証明・自動車登録のNG業務
具体的に、日々の業務の中でどのような行為が違法となるリスクをはらんでいるのか、車庫証明と自動車登録のそれぞれのケースで見ていきましょう。
車庫証明(自動車保管場所証明書)でのNG行為
申請書の代筆
お客様から白紙の申請書に認印だけをもらい(現在は押印廃止の方向ですが、署名等の場合も同様)、販売店側で「自動車の型式」「車台番号」「保管場所の位置」などを記入して警察署へ提出する行為。
配置図・所在図の作成代行
保管場所の寸法や周辺地図を、報酬を得て販売店スタッフが作成する行為。
承諾書の代筆
駐車場の大家さんや管理会社からもらうべき「保管場所使用承諾証明書」を、販売店が勝手に記入する行為(これは有印私文書偽造等のより重い犯罪になる可能性もあります)。
自動車登録(名義変更・新規登録など)でのNG行為
OCRシート(申請書)の作成
愛媛運輸支局へ提出する第1号様式などのOCRシートに、顧客に代わって鉛筆等で記入する行為。
譲渡証明書や委任状の追記
お客様から白紙で預かった委任状や譲渡証明書に、後から販売店側で受任者欄や車両情報を記入する行為。(※委任状は本来、委任する内容が全て記載された状態でお客様から頂くべきものです)。
「サービス料」「代行手数料」としてお客様から費用を頂戴している以上、「単なる親切心で書いた」という言い訳は通用しません。
「報酬を得て書類を作成した」とみなされるのです。

違反した場合の重い罰則と経営リスク
「今までバレなかったから大丈夫」「他の車屋もやっているから」という認識は、現在のコンプライアンス社会では通用しません。
もし無資格で行政書士業務を行っていることが発覚した場合、以下のような非常に重いペナルティと経営リスクが待ち受けています。
行政書士法第21条に基づく罰則
行政書士法に違反し、無資格で報酬を得て書類作成業務を行った場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処される可能性があります。
これは決して軽い罰則ではありません。
実際に全国で、無資格の代行業者や販売店が書類送検される事例も報告されています。
企業の信用失墜とブランドイメージの低下
ディーラーにとって、罰金以上に恐ろしいのが「社会的信用の失墜」です。
万が一、店舗のスタッフが行政書士法違反で摘発された場合、その事実はニュースやインターネット上で広まります。
「法令を遵守しない販売店」というレッテルは、新規顧客の獲得を困難にし、既存顧客の離れを引き起こします。
特にフランチャイズ契約を結んでいる正規ディーラーの場合、メーカー側からのペナルティや契約解除の事態に発展する可能性すらあります。
業務停止命令や古物商許可への影響
中古車販売において必須となる「古物商許可」は、役員等が一定の犯罪で罰金以上の刑に処せられた場合、許可の取り消し事由に該当する可能性があります。
つまり、行政書士法違反が原因で、「車を販売・買取すること自体ができなくなる」という最悪のシナリオも想定しなければなりません。
日本行政書士会連合会からの通知
自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について、文書が日本行政書士会連合会から通知がありました。
以下のとおり、実際の文書をご紹介します。
車庫証明書の申請業務において行政書士法違反と考えられる例
① 自動車販売会社の販売員が、自社が販売した車両に係る車庫証明申請書の作成を代行すると、例え、作成費用を無料としても、車両の販売代金や整備代金等に報酬が含まれていると考えられることから行政書士法違反となるものと考えられる。
② 自動車販売会社の販売員が、自社が販売した車両に係る車庫証明申請書を作成するため自社の顧客情報や車両情報等のデータベースの情報を用いると、①と同じ理由により行政書士法違反となるものと考えられる。上記のとおり、自動車販売会社が書類作成を行うことの違法性を示しております。
さらに、行政書士が、「自動車販売会社やその関連会社に書類を作成させる行為」は、行政書士法施行規則第4条「他人による業務取扱の禁止」にも該当し、重畳する行政書士法違反になるものと考えられます。
この行政書士の行為は、行政書士の品位を害し、信用失墜行為に相当するものとして、行政書士法第10条違反に該当するものと考えられることから、注意喚起のため周知します。
「日行連発第 1238 号令和7年 12 月 24 日 自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について」より
この文書からも分かるように、これまでグレーゾーンであった代行手続きについて、明確に違法である旨の見解を示しました。

よくある質問(Q&A)
車屋・ディーラーの皆様からよく寄せられる疑問にお答えします。
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代行費用を一切頂かず「無料(サービス)」で車庫証明の書類を作成するのも違法ですか?
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完全に無報酬であれば、直ちに違法(行政書士法違反)とはならないケースもあります。
しかし、車両本体価格やその他の「登録諸費用」「納車準備費用」などに実質的に上乗せされているとみなされた場合、「隠れた報酬」として違法と判断されるリスクが高いです。
現代のコンプライアンス基準では「無料なら書いても良い」という認識は推奨されません。
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お客様自身が完璧に書いた書類を、スタッフが「提出」だけするのは問題ありませんか?
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はい、問題ありません。
お客様が全て記入・押印した書類を、単なる使者(お使い)として窓口へ提出・受領し、「提出代行」としての交通費や手間賃を請求することは適法です。
ただし、前述の通り、窓口で一文字でもスタッフが加筆・修正した瞬間に「書類作成」となりアウトになるため、実務上は慎重な対応が必要です。
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今後の見積書や注文書の記載はどのように変更すべきですか?
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これまでの「車庫証明取得代行費用」といった曖昧な項目は廃止し、行政書士へ外注することを前提とした項目に変更してください。
例えば、「行政書士報酬(預り金)」「車庫証明手続費用(行政書士委託分)」など、誰に対する費用なのかを明記してください。
終わりに
行政書士法の厳格化により、愛媛県松山市の車屋(ディーラー)の皆様にとっても、「自社で適当に書類を作って提出する」という手法は、もはや通用しない時代となりました。
「行政書士に頼むとお金がかかる」とお考えかもしれません。
しかし、コンプライアンス違反による摘発リスク、社員の移動時間や書類作成にかかる人件費、書類不備による納車遅延のトラブルなどを総合的に勘案すれば、行政書士への外注費用は、会社を守り、利益を最大化するための「必要不可欠な投資」と言えます。
「今までグレーな方法でやってきたが、そろそろ体制をクリーンに見直したい」 「スタッフが慢性的な人手不足で、手続きに回す余裕がない」 「複雑な名義変更や相続案件だけスポットで頼みたい」そのようなお悩みをお持ちの車屋・ディーラー様は、ぜひ一度、自動車手続きに強い愛媛県松山市の行政書士にご相談ください。
貴社のビジネスパートナーとして、迅速・正確・適法な手続きで、安心の自動車販売ビジネスを強力にサポートいたします。
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行政書士くにもと事務所
特定行政書士 國本 司
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